海苔漁が始まった! その詳細を直接取材しました【動画あり】
これから寒くなってくると、富津では『海苔』の養殖が盛んになります。コンビニのおにぎりや、ラーメンの具、佃煮、贈答品など何かと欠かせないのが『海苔』。
さてこの『海苔』はどのようにして生産されているのでしょうか。
準備段階から見ていくと、この『海苔』の養殖が顕微鏡の世界から実際に海に出す体力勝負の作業まで、大変な工程の連続であることを垣間見れます(動画にはその一連の様子がほんのわずかではありますが、記録編集させていただいています)。
牡蠣の貝殻に植えられた『海苔』の”タネ”が、水槽に浸されます。一枚一枚が糸でつなぎ合わされ、長さ約40センチほどにつながっています。
この一枚一枚に、眼に見えない形で『海苔』の”タネ”が植えられているのだそうです。ついつい目を見開いて覗きこんでしまい、海苔漁師さんに笑われてしまいました(笑)。
『海苔』は種子植物ではないので”タネ”というのはおそらく漁師さんの間での通称かな、と思いました。
この『海苔』の”タネ”が付いた貝殻は九州の方から1枚約40円で取り寄せているものだそうです。
このようなすだれ状の海苔の”タネ”が、幾つもの水槽に分けて入れられ、酸素のポンプでまんべんなく空気が送られ、海水もポンプで循環しているのです。労力の他に電気代や機材代、海水を汲み上げるために施設を使う利用料、船、網、燃料代、施設全体に掛かる資材などを考えたら、それはとてつもなく莫大な費用ですよね。
この糸状に伸びているのが、”タネ”から成長した『海苔』です(写真がぶれててごめんなさい)。
目に見えない胞子の状態から成長してこのように糸状になり、これがさらに増えて海苔の網に太く絡み付いていくのです。
”タネ”が入った水槽に、海苔網を巻きつけた水車をくぐらせ、網に『海苔』の”タネ付け”をします。動画を観ていただくとわかりますが、かなりのスピードで回っていて、素人目からは説明なしでは何をしているのかさっぱりわかりません。
水車で”タネ付け”が終わった海苔は、大きな水槽の中に入れられ、成長を待ちます。
球形をしている”タネ”が長円形になり、海苔の網にしっかり付着するのだそうです。それを顕微鏡で確認したあと、すべての海苔は水槽から引き上げられ、マイナス30度の冷凍庫に保管されます。
『のりっちゃ、つえーねー、あはは』と、海苔漁師さんは言います。
10月以降の海水温が下がった頃、海苔網が一斉に海に広げられ、いよいよ海苔の養殖の季節を迎えます。
道路の両側で海苔の養殖が準備されています。
ついこの間まで行われていたと思っても、準備が終わるとすっかり片付けられ、その準備が終わったことを知らせていました。たった数日の違いです。
海苔の季節はまさにこれから。海苔網が海に固定されると、衛星写真でも分かるように海一面に海苔網が設置され、収穫されるまで成長するのを待ちます。そして寒い冬の時期、海苔漁師さんは海に出て、その収穫をします。資料によれば、一軒あたりの海苔の収穫枚数は、一日1万5,000から2万枚になるということです。
すべて機械化されているとはいえ、決して楽な仕事ではありません。来年の春になる頃までこの『仕事』は続きます。
こぼれ話ですが、最盛期には『永谷園』などの大手業者が買い付けに来るそうですよ。でもさすがに大手でも一番質の良い海苔を全部買うことはできないのだとか(笑)。先の海苔漁師さんのお話です。
本当に美味しい海苔は、地元の人でなければ味わえないのでしょうね!
(Ken)