• 2013.3.1

昇り龍と降り龍が見守る、山砂採取地域の移設神社

 

国道127号線を千葉方面から館山方面へ下り、小山野トンネルをくぐって数分、左側に『宮醤油』を過ぎて更にもう少し先に行くと朱色の鳥居が見えます。そこが『古船浅間神社(こせせんげんじんじゃ)』です。

古船浅間神社

古船浅間神社

ちょうどそこのところだけ『森』のようになっており、まさに“鎮守の森”です。入り口には朱塗りの立派な鳥居、入って左側には清浄な水が龍の口を通して流れ、地元の方のみならず、ここを通って知っている方はボトルやタンクなどに水を汲んで帰ります。

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一対の歴史ある狛犬

 

鳥居をくぐり、少し急な境内へ続く階段を登ると、一対の狛犬が迎え入れてくれます。神社自体は西暦1709年に建立されたものである、ということが小屋根の梁に記されているとのことです。ひと目この目で確認してみたいですね。

実はこの神社、元々はこの場所にありませんでした。周囲を見回すとわかるように、この辺りは良質な山砂が採取できることから開発が進み、本来は山であった場所が切り崩されて標高が下がってしまったのです。このあたりからマザー牧場のある鹿野山側を見るとその山容が変化していることからその様子が見て取れます。

つまり、この神社は1709年に建立されたものの、山の頂上から今の場所に移築されたものであるということです。同時に標高200メートルあった『浅間山(富士山とも呼ばれた)』は文字通りにも、地図からも姿を消しました。

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移築されたものではありますがその装飾には目を見張るものがあります。色彩は補修されたかもしれないとはいえ、その彫り物は一つ一つがとても素晴らしいです。幾らかですがご紹介しましょう。

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その意味を探るのも興味深い、建物の左右奥にそれぞれある彫り物『昇り龍』と『降り龍』。とても迫力があります。『脇障子』と呼ぶようです。龍は守り神でもあるようですね。写真は建物の左右それぞれにあるものを加工して一枚で表示しています。

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唐獅子も怖いです(笑)。

他にも細部にわたって写真は撮りましたが、当然ながら実在するものではないのでどのパーツも奇怪な感じですよね。でもこれらの彫り物を職人がひとつひとつ図案を考えて下書きし、のみと槌で彫り込んだと思うと、ぼくの心のなかにはあたかもその職人がそこにいて作業しているかのように思えてしまうのです。

考え過ぎですかね(笑)。

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この彫り物などは体は鯉?、顔は鰐(ワニ)? そして羽根が生えています。これが日常的に空中を飛んでいたらなんとも恐ろしいじゃありませんか! でも、注目すべきはその下の彫り物。大きな『太刀』ように見えますね。きっと神社の彫刻に詳しい方がいらっしゃったらひとつひとつ説明してくださるんでしょう。“富津市の寺社・遺跡マイスター”みたいな方がいるといいなぁ。

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帰りに清らかなお水を一杯いかがですか。ボトルに何本も詰めて帰る方、その場で飲んで帰る方、様々です。では、私は自前のタンブラーに詰めて飲みながら帰りましょうか。

開発の波にもまれ、あるべき場所から追いやられてしまった『古船浅間神社』。夏にはこの場所で『木花開耶姫命(コノハナノサクヤビメ)』に捧げる『羯鼓舞(かっこまい)』という祭りが開かれるそうです。この『羯鼓舞』、雨乞いの祭りとも言われていますが、中には、開発という勝手な理由でこの神社を移築したことからその祟りがあると考えている人もいるようです。それでも今もなお毎年この行事は続けられているのですね。

 

参考:地図から消えた山(富津市、浅間山)NO 209 [房総ENJOY-LIFE]

 

(Ken)

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